GS大戦!? 第一話 メイドとの出会い
雲ひとつない真っ青な空。日は高く、その日差しは日本と比べるべくもないほど強く照り付けている。
ここは東カロリン諸島にある島のひとつ。
やしの木などの熱帯系の植物と周りの海はここが南にある島であることを表している。
青く透き通ったような海、海岸は遠浅で穏やか。朝夕は日差しも快適に過ごせる。
ただ、ハワイなどのリゾート地と違うのは観光用にあまり開発されていないことだろうか。
この島は東カロリン諸島の中では大きな島で、飛行場がある。
飛行場といっても大型ジャンボなんかが止まれるような飛行場ではなく、小さな飛行場であるが。
たった今、到着した飛行機から人が降りてきている。
現地人、羽振りがよさそうな中年の男性、老人夫婦などさまざまな人がゆっくりと階段を降りる。
その中に一人の日本人客が混ざっている。
彼は二人いる若い女性客をちらちら見ているために少し挙動不審になりながら飛行機から出てきた。
彼こと横島忠夫は以前と変わって女性に飛びかからなくなった。
とはいえ彼が成長したというよりはイギリスに留学という形でGSの修行に行ったのが原因だろう。
勉強していったものの横島がそんな短期間で英語を覚えることなどできたはずはない。
そんな状態でナンパや飛びかかろう物ならば刑務所に直行もしくは日本に強制帰国となっただろう。
まあ日本でも警察のお世話になりそうな行為をしていたのだから彼も少しは成長をしたのであろうが。
おそらく今から日本に帰ったとしても再びそのようなことはしないだろう。
ナンパはするかもしれないが。
彼がお世辞にも立派とはいえない空港のロービーに入ると、不意に自分の名前がきれいな発音で呼ばれそちらを向く。
横島の目に飛び込んできたのは銀色の髪をしている美人である。
横島は久々に飛び掛りそうになるのを何とか抑え、話しかけようとする前に彼女が先に口を開いた。
「横島様でお間違いありませんね。私はリーラと申します。私が館までご案内させていただきます」
彼女の口からきれいな日本語で話しかけられた横島は彼女の姿と紺色の服装に気をとられたために、肯定とも否定とも取れるあいまいな返事をするのがやっとだった。
彼女が自然に荷物を持つ。
「あ、荷物は除霊道具も入って重いから俺が持っていくよ」
「いえ、これもメイドとしての仕事ですので。それでは横島様、こちらに車を待たせてあります。着いてきてください」
リーラが一礼をした後、後ろを向き歩き出す。その荷物はあまり所例に道具を使わないとはいえ、決して軽いものではないのに足取りに乱れはまったくない。
彼女に案内されて待っている車がベンツであることに驚きを感じるがすぐさま思い直す。ベンツに乗るには道路の路面は決して良好といえなさそうな島であるがきっと自分を案内している彼女の格好からも分かるように依頼人はかなりの金持ちであるだろうことが察せられたからだ。
横島は知らないがこの車はメルセデスベンツS600Lという高級車であり、中古で1000万を超える値段である。
「横島様」
横島がベンツの前で少しの間そんなことを考えているとリーラがベンツのドアを開けたままの状態で待っているのを見てあわてて車に乗り込む。
横島は運転手までメイド服を着ていることにまた驚きを感じた。
しかも、彼女も相当な美人であることが鏡越しでもはっきりとわかる。
リーラが凛とした雰囲気を持つ美人であるのに対して彼女の顔立ちはやわらかさを感じさせる姿である。
やわらかな目元、首の辺りまで切りそろえられている薄い茶色の髪。
残念ながら鏡越しではスタイルまでは解らないが。
横島はもしかしたら依頼人の趣味なのではないのかと思ったが、それが本当で150人ものメイドがいるとは想像もしなかった。
彼が想像したのはリーラや運転席の女性が好色そうな中年にあることないことされている姿だった。
人はそれを妄想と呼ぶだろうが。
「横島様、どうかなさいましたか?」
横島が妄想にふけっているのを見て、リーラは心配したように声を掛けてきた。さすがに本当のことを言えるはずもなく、なんでもないとはははと笑いながらごまかした。
それでもなお心配そうな彼女見てばつが悪くなったのか、ごほんと一つ咳払いをして話題を変える。
「ええと、リーラさんだよね」
「はい。リーラとお呼びください。運転をしている彼女はマルグリットと申します」
「それでリーラさん、仕事の件なんだけど」
「リーラと呼び捨てで呼んでください」
「い、いやあの・・・リーラ。これでいいかい」
横島は少し顔を赤くしながらそういうと、表情をほとんどみせなかったリーラは嬉しそうにしているように見えた。
横島はよくナンパやセクハラまがいのことをしていたがほとんどの女性を呼び捨てにはしない。
例外といえばルシオラやべスパ、パピリオの三姉妹と幼いタマモとシロぐらいである。
キヌや美神なども呼び捨てではないくおきぬちゃん、ルシオラ達も呼び捨てにするようになったのもルシオラと恋人になってからのことである。
「はい。それと私だけでなくメイド達全員呼び捨てになさってください」
「え?いやそれは・・・分かりました」
口ごもる横島だったがリーラの薄い茶色い瞳にじっと見詰められて降参した。
「横島様、仕事の話でしたね」
「ああ、そうだった。今現在はどういった様子になってるの」
「はい、まだそれほど深刻な被害は出てはいないないのですが、日に日に数が増えてきています。今はまだ対応ができているのですがこのまま増えると対応するのは難しいかと」
「うーん。その島ってなんか戦争でもあったの?」
「いえ、そのようなことはなかったはずです。ご主人様があそこに城を建てるまで人はほとんどすんでいませんでしたから」
「うーん、じゃあ誰かに恨まれているってことは?」
「それは仕事上ライバル会社なんかも多いですし、対抗している組織もあるのでかなりあるでしょう」
対抗する組織って何だもしかしてマフィアかなんかなのかと思ったが横島は口には何とか出さなかった。
「うーん。とすると呪いかなんかなのかな?まあ、なにかの原因で自然に集められてる可能性もあるか」
横島が黙り込み考えをめぐらすと、リーらも沈黙し車内は静寂になった。しばらく無言のまま車が走っていく。
「横島様。港に着きました」
空港から20分といったところだろうか、小さな港に着く。
その港にほとんどが小さな漁船や島々を渡る少し年代ものの船に混じって、ひとつだけやけに立派な船がある。
「横島様。足元には注意してくださいね」
車から降りると、海の香りが風に運ばれてくる。
南国特有の暑さに潮風が気持ちよく吹いている。
港を颯爽と歩くリーラについていく。
荷物を持ったマルグリットという女性がふらふらしているのを横島は見て、荷物を受け取ろうと近寄る。
次の瞬間、強い風が吹くとリーラはうまく抑えたが荷物を持っていたため抑えることができずにマルグリットのスカートがめくれる。
「キャー」
横島はばっちりと目撃してしまいピ、ピンクとつぶやいてた。マルグリットがかわいらしい悲鳴を上げ、とっさに荷物を落とす。
「マルグリット」
「申し訳ありません」
リーラが一喝するとすぐにマルグリットは頭を下げる。
「横島様。申し訳ありません。お預かりした荷物を落とすとは。マルグリットには後で厳しく罰を与えますのでなにとぞお許しください」
「いや、別にいいよ。壊れ物が入っているわけじゃないから。普段からそんな丁寧に扱ってないし」
丁寧にというより少し大げさな感じで頭を下げる、リーラとマルグリットに横島は驚く。
「いいえ、そういうわけには参りません。信賞必罰は世のならいですので」
「いや、ほんとに気にしなくていいから」
横島はそういうと頭の中でいいもの見せてもらったしと続ける。
「マルグリット。あなたの処分は保留とします。この失敗を取り戻せるようがんばりなさい」
「はい。横島様、どうもありがとうございます」
マルグリットの少し熱のこもった目になんか大げさだなーと横島は感じてあいまいにうなずくだけだった。
(あとがき)
マルグリット彼女はオリキャラではなく、ちゃんともっとメイドの巻にでています。
そんなの知らない。ほんとに出てるのかよと思った方、彼女はセレンに出動を準備しろと呼ばれています。
というわけでほぼオリキャラです。特に誰でもよかったので夕菜につかまったヘルガとメラニーというキャラも捨てがたかったのですがまあ台詞がひとつもない可哀想な彼女にしました。
メルセデスベンツS600Lは小説中にリーラが乗っていた車ですが二人乗りじゃないですよね?値段は一応調べたんですが写真を見るともしかして二人乗りという気もするのですが、まあ車は詳しくないので勘弁してください。
次章でやっとメイドの島に到着します。しかしピンクパジャマカンパニーは出てきそうにありません(未定ですが)。
次回をお楽しみに。
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