第二話 あれ、毛が生えてない






目覚めるとそこは雪国だった。

横島は目覚めたとき見慣れぬ天井を見上げながら自然と現実逃避しながらそんなことを考えてみた。
しかしながら当然として天井は雪国に関係するものなどなく、どこか見たことのある天井があった。
あたりを見渡すとこれまたどこか懐かしい風景が見られるだけだ。

ひとつ大きく深呼吸をして横島はズボンを恐る恐る除いてみた、しかしそこには見慣れた自分のものはなく、毛もむけてもいないかわいらいしい物があるだけだ。

「何でだーーーーー」

「何とち狂った声をだしてるんだい」

その俺の絶叫と意識はやってきた俺のおふくろの折檻によって刈り取られていった。


再び起きたときまた同じことを繰り返しそうになったが、何とか踏みとどまることができ、二度目の折檻は回避することができた。
それは痛みと何より再び叫びそうになったとき、おふくろの目が妖しく光るのをみてしまったせいだ。あの目は親父の浮気を見つけたときのお袋の目だ。叫んでいたら今度は夜まで気を失っていただろう。


「よこっち、何ぼけっとしてんの。ボールそっちいったで」

少し思いだしていたら、夏子が声をかけてきた。

「ああ、ごめん」

「よこっち今日ちょっと様子が変やで、調子でも悪いんか」

「いや、ちょっと考え事してただけだから」

銀ちゃんはすごく驚いたような振りをしながら、やけに真剣な口調で。

「何、よこっちが考え事やて。こら重症や。早く病院行かな」

「何やと、銀ちゃんそれはどうゆう意味や」

「そうや、早く病院にいかなあかんで」

「そんなに俺が考え事したら変か」

「「変や」」

銀ちゃんと、夏子の声がぴったり重なって、俺との鬼ごっこが始まった。

夏子や銀ちゃんも違和感をおぼえたようだが、しかし違和感があったとはいえ自然に遊べるあたりが横島たるゆえんだろうか。
横島は結局楽しく遊んで、変えるのが遅くなりその日二回目の折檻を受けた。




次の日、横島が霊力を使えるかを試したところ、ほとんど使えないことがわかった。
霊力の使い方はわかっているので、文殊は作れないがサイキックソーサを作ったところ一円玉のような小さいものがほんのわずかの間だけ作れただけであった。
これは霊力に目覚めていない時代の体のためであり、霊的成長期をまだ迎えていないためである。
そのため、十分な霊力自体が備わっていないのだ。
このあとどうするかを考えようとしたが、考えてるうちにそのまま寝てしまった。知識はどうあれ、横島は子供の体なのだから当然といえるかも知れないが次の日、頭もあまり使ってなかったのか知恵熱を出し寝込んだ。







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