第二話 学校での日常








 眠い。ひたすら眠い。

 俺がいくら馬鹿だとは言え、小学三年生の勉強はさすがにだるい。
 社会なんかはまだいい。忘れてることも結構あるから聞くことはできる。
 ただ算数は本当に眠くなってくる。


 最近はじめた早朝トレーニングのせいもあるかもしれないが。
 いきなりGSになりたいと言い出したところで、怪しまれるのが落ちだろうから、霊力のトレーニングは自己流ですることにしたからだ。


「こら、横島。何ぼーっとしてるんだ。この問題を解いてみろ」

「はい、はい、分かりました」

「はいは一回でよろしい」


 最近この先生は目の敵のように俺に問題を解かせる。
 うつらうつら居眠りをこいていた時に問題をあっさりと解いてしまってから何度も難しい問題を当ててくる。

 「く、正解だ」

 あんた先生だろ。何で生徒に問題を解かれて悔しそうなんだよ。
 最初のころこそ、俺が難しい問題を解くたびにどよめきが起こったりしたものだがもう起こらなくなってきた。

 夏子は(あんた熱でもあるんちゃう)と失礼なことをぬかしていたがまあ俺の記憶からすればあながち的外れではないと思うが。

「横島君すごいね。さっきの問題まだやってない範囲の問題だったのに」

 そう話しかけてきたのは藤村清子。彼女はクラスでは夏子と同じぐらいの人気がある。
 この春、東京から転向してきたばかりであるがちょっとした手助けをしたことによって親しくなった。
 また少し男っぽい夏子に比べると彼女は女の子らしく感じられる。
 夏子の場合はそういう元気なところが魅力であるから好みの問題でしかないんだろうが。


「そうやったんか。そうまでして間違えさせたいんか」

「なに言うってんねん。あんたがちゃんと授業聞いたらええんやろ」

「そやけど、眠いもんは眠いんだからしょうがないだろ」

「急に早朝ランニングなんか始めるからそうなるんや」

「え、横島君ランニングしてるの?」

「そうらしいで。急に悪の組織をやっつけるんだと言い出したって、よこっちの母ちゃんが言っとたわ」

「やっだー。でも横島君らしいわ」

「しかも東京弁に変えたのは関西弁のヒーロなんか見ないからやて」


 そういって少女二人が爆笑しているのを見て、銀ちゃんがそれは恥ずかしいぜ、よこっちというきつい突っ込みをもらう。


「ふん。お前らが悪の手下に捕まっても助けてやらん。正義の味方はいつも孤独なもんさ。エイド○ア―ン


 そう机の上に上って叫んでやると、クラス中が爆笑の渦に巻き込まれた。

 やってきた先生に机の上に立って何やってんだといわれて、放課後呼び出しをくらったが。

 とまあ、こんな風に多少変わったもの学校では馬鹿やってすごしている。
 先生方は以前よりもなまじ勉強ができる分だけストレスが溜まるのではないかと思うが。






 放課後、今日は週二回のとある道場での訓練日である。

 剣の道場にしようか迷ったが、ここの道場に見学に来て一目で決めてしまった。

 豊かにゆれるその胸。すらりとした長い足。その足のかなり上のほうまで切れ込んでいるチャイナ服。
 それがこの道場に決めた理由だ。

 この美貌の持ち主は一児の母である紅玉という女性である。
 美人なだけでなく、この女性は魔装術を使った雪乃丞より強いであろう。

 おそらく彼女目当てでこの道場に来ている人は多いであろう。
 まあ、練習がきついので半端な気持ちの人はやめてしまうが。

 そして今の俺は彼女の娘である香蘭に吹き飛ばされてるところだ。

 昨年、日本に着たばかりの彼女は日本語のイントネーションがおかしいところもあるが、素直ないい子であるだろう。

 そしてないより強い。すくなくとも頭の中では経験豊富なものの体がついてこない俺では正直勝ち目はない。

 しかし少なくとも同い年で相手にできるのが俺だけだということで、彼女の相手をつとめさせられる。
 いい子なんだけどもうちょいて加減ができるといいんだが。

 倒れている俺に手を差し伸べてくれる。確かにやさしい子なんだが・・・


「だいじょぶか?」

「まあ、何とか生きてるみたいだ」

「そか、よかった。じゃもう一本やるね」

「い、いやちょっと待って」


 止めてくれるように紅玉さんのほうを見るが、彼女は笑っているだけで止めてくれる気配はない。


「じゃ、いくね」

 そういって放たれた左の拳を何とかかわしたものの、続く連激を裁ききれずに右のハイキックが意識を刈り取った。






 目を覚ますと、香蘭が涙を流していて、俺がおきたのを見るなり謝ってきた。

 なきながら謝る彼女を何とかなだめるのに非常に苦労した。


 後から聞いた話によると香蘭と同世代で一緒に稽古する人は今までいなかったらしい。
 いや、何回かならばあるのだが基本的に彼女の相手をできなかったらしく、俺が始めての同世代の稽古相手だったらしい。
 それがだいぶうれしかったらしく、気絶させてしまったことでまた稽古相手がいなくなってしまうと考えたのだろう。

 だから紅玉さんは香蘭を止めなかったのだろう。今後も練習を受けに来るといったら何とかなだめることができた。

 とわいえ、これで香蘭がもう少しセーブしてくれたらなと思っていたがその望みは残念ながらかなうことはなかった。








(あとがき)
 今回の話は完全に新しい話。一から作ったので前話に比べるとだいぶ時間がかかった。
 しかも短い。残念。

 火魅子伝をから何名か出すところなんか前作より趣味にはしってみた。
 そのあたりはとりあえず満足。
 火魅子伝を知らない人のため言っておきますが、香蘭の言葉でっの文字が抜けてしゃべるためです。
 誤字ではないのでとりあえず伝えときます。

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